音信不通のパルコン
へーベルハウスvsレスコハウス。その結論は出ないままだった。存在感はほぼゼロだが、一応まだパルコンも候補には残っている。
へーベルハウスとレスコハウスはそれぞれ次のアポイントが決まっていたが、もちろんパルコンは会う予定は一切ない。しかし、構造や値段など徹底的に比較をしてから結論を出したい。
そう思った私たちは、翌週家づくりの計画ができる前から予約していたホテルビュッフェのついでに、パルコンの展示場へ行ってみることにした。
パルコンの展示場はかなり限られている。この日行ったのは新宿の展示場だった。コンクリートのずっしりした感じ。わざとドタドタ歩いても全く足音が気にならない。
そしてここにもやっぱり防音室があった。防音室の中では大音量で映画が流れているが、扉を閉めると外には一切音が漏れない。この防音設備は設備としてはかなり魅力的だったが、リケ男もリケ子も音楽の趣味どころか、映画すらほとんど見ない。防音室を作成したところで宝の持ち腐れになるのは目に見えていた。
パルコンの営業マンは女性だったが、またもや押しが異常に弱い。リケ男もリケ子も設備や構造の説明用パネルにかなり興味を持っているのは明らかだったと思うが、補足説明を少しするくらいで特にアピールはなく、後をついてくるだけ。前の展示場の営業マンも同じような感じだったし、パルコンは私たちに興味はないのだろう・・・(もっと成金感を出せばグイグイ来るとか?)
パルコンの構造体をどんなに気に入ったとしても、このやる気のない感じ、家を建ててからの付き合いを考えると実に不安で、この時点でパルコンは落選が決定した。
木と仲良しな一条工務店
この展示場にレスコハウスはなかったが、一つ気になるハウスメーカーがあった。木造住宅のため、ノーマークだった一条工務店。耐震性や耐久性について、東京大学と共同研究を行っていることを知ってから、実は気になっていたメーカーだった。
ハウスメーカーを決めてしまったら、中々ほかのメーカーと比較もできないかもしれない。ということで、木造住宅で鼻から興味はなかったものの、見学のみしてみることにした。
この日は金曜日。いくら都会の住宅展示場でも平日に見学に来る人は多くないのだろう。一条工務店に入ると暇を持て余していそうな営業マンたちが一気に寄ってきた。東大との共同研究から興味を持ったことを営業マンへ伝えると、大喜びの様子だった。説明をしてくれた営業マンはかなり若めのジャニーズ系。
まずなぜか業界地図という雑誌を渡された。「工務店」という会社名から小さい会社だと思われる事が多いらしく、会社の規模や全国戸建販売総数が第2位であることが説明された。ジャニーズ系営業マンは練習通りに説明をしていく。
一条工務店の家は床暖房が全館に入っているらしい。玄関を上がるとすかさず
ジャニーズ系「床温かいでしょ???」
リケ男「う~ん・・・」
ジャニーズ系「ほらっ。こことかちょっと温かいですよ。」
ただいつも入るヘーベルハウスのポカポカ床暖と比べて、「まぁ床は冷えてはいないかな」くらいの床の温度。温水式床暖房パネル方式を導入しているらしく、ジャニーズ系営業マンいわく「ほんわかとした日だまりにいる感じ」だそうだ。
そこまで温かいか?と思ったのが正直なところだったが、必死に説明してくれているのでそこは頷いておいた。(実際はこのくらいの温度で十分だが、ヘーベルハウスの分かるくらい温かくすることによって、床暖房のイメージアップを図っているのは作戦なのだろうか・・・。)
一条工務店はオリジナルな設備が標準になっているようで、キッチンは黒光りしている作業台。これも標準。洗面台の鏡がフレキシブルになるのも標準設定。何もかも標準設定でほかのメーカより優れているアピールをしてくる。
彼がいつも練習している通りに、別の階へと案内される。そこは防音・防熱設備のシミュレーションができる設備がそろっており、モデルハウス内の見せ場でもあった。ジャニーズ系営業マンの説明にも力が入るが、どの話も全て聞いたことがあった。そして会社帰りにホテルビュッフェだったため、荷物が重い。腕が千切れそうだ。ジャニーズ系営業マンのシナリオにはお客が重い荷物を持っている事は書いていないらしく、説明はまだまだ続く。
そのコーナーには緑がかった一本の木が置いてあった。一条工務店は木造の住宅メーカー。木造といえばシロアリの被害が心配になる。一条工務店では木材にACQという安全性の高い薬剤を使ってシロアリ対策をしているという。「ふーん」と思って聞いていると、ジャニーズ系営業マンが突然木を持ち上げ、顔の横に持って行った。
ジャニーズ系「こーんなに顔に近づけても大丈夫!(スリスリ)」
リケ子(・・・いや、有害な薬剤を使っていたとしても、そんなに早く顔に反応出ないでしょ・・・)
営業の見せ場らしく、ジャニーズ系営業マンはかなりノリノリだったが、リケ子は明らかに引いている。イケメンだし、確かに彼の肌はつやつやだ。もしかしたら世の奥様方にはこの営業方法が受けていたのかもしれないが、リケ子には逆効果のようだった。
ホテルビュッフェの時間が間もなくになったため、モデルハウスを後にしようとした。自分のペースを崩されたジャニーズ系営業マンはとたんに慌てふためいた。
ジャニーズ系「よかったらiPadを貸すので、こちらで事例紹介や構造などを勉強されませんか?汗」
リケ男「いらないです。ここ近くないので返却するの面倒なので・・・。」
ジャニーズ系「お近くの展示場にご返却頂いていいので、ぜひ貸させてください!汗」
リケ男「いらないです。」
次の週末はヘーベルハウスに行くことになっていたが、まったく予習ができなかった。ホテルビュッフェを心行くまで楽しんで、次の日に備えることにした。